装備が不十分

 Tシャツとジャージが沢登りにおいて一般的な服装ということを昨日のエントリで述べたが、現役で沢登りをやっている友人に話を聞いたところ、最近はそうでもないという事だった。私が沢登りをやっていたのは10年以上前だが、その頃に比べると速乾性、保温性に優れた素材のウェアがかなり普及しており、価格も求めやすくなっているので、ある程度本格的にやりこむ人はそういう服装を揃えている場合が多い。速乾性素材のTシャツにジャージも許容範囲ではあるが、それで十分かと言われると疑問があるということだ。つまり、比較的簡単な沢に登るのであればTシャツジャージで問題ないが、流れの中を泳いで突破することを前提とするような沢の場合は不安があるということである。

 今回の事件現場の滝川は、「沢登りに慣れている人でなければ、入るのは難しい」レベルであり、さらに増水していたということなので、ガイドが服装を含めた装備に不安を感じたというのは十分に根拠のあることだろう。Tシャツ、ジャージ姿は、沢に入ってそれほど難しくない所まで行くのには十分であるが、墜落事故現場まで遡行するには不十分ということである。

 先ほどのニュースでは、二人の死因は溺死ということだった。結果から見れば、ガイドの判断が正しかったが、それを無視して沢に突入した判断の甘さが遭難死という結果を招いたのだろう。