放射線被ばくの過剰反応について

近所のスーパーでふと耳に入ったおばちゃんの会話が気になりました。
「福島の桃を送ってもらったけど放射能が怖いから捨てちゃった」
「そんな食べられないもの送るなんて無神経ねえ。でも、放射能がついているものって普通にゴミに捨てて良いのかしら?」


福島原発の事故によって放射性物質が飛び散り、東北、関東を中心に被ばくの危険性が続いています。特にセシウム137は半減期が30年であるため、少しずつ減っていくにせよ、被ばくの危険性は数十年単位で持続することになります。

これを完全に回収することは不可能なので、被ばく量を抑える努力をしつつ、長いスパンで付き合っていくしかありません。

で、低い放射線量の被ばくを長期にわたって受け続けることになるわけですが、低線量被ばくの影響は科学的にもあまりよくわかっていないのです。なぜかというと、調査しても影響が表に出てこないから。

これは「表に出てくるレベルの影響はないから大丈夫」とも言えるし、「表には出ないだけで見えない影響が蓄積されているかもしれない」とも言えるわけです。

また内部被ばくについても、体内に留まる量と排出される量、それによって被ばくする量とその影響などはうまく調べられる方法が無いため、ほとんど分かっていません。

こういうあまり分かっていない状況なので、大事をとって危険性のあるものを避けるというのは消費者の自衛行為として必要だと思います。避けるという行為は責められるべきではありません。

しかし、この「大事をとって避けている」ことを当たり前と思わないで欲しい。自分が過剰反応しているということは常に意識して欲しい。

出荷されている福島の農産物は、検査されて「調査できる範囲では問題ないであろう」というレベルのものです。大事をとって避けるのは消費者の権利ですが、決して「こんなもの食べ物じゃない」と言われたり、「放射性廃棄物扱い」されるようなものではないのです。

大事をとって避けることが日常化してくると、ついついそれが当たり前という感覚になってしまうので、「過剰反応している」という意識は忘れないようにしましょう。