iPod touch と電子書籍

　先日、東京に出る機会があったので、秋葉原をぶらつき、半ば衝動的にiPod touch の32GBモデルを買った。いろいろ試してみたが、電子書籍に対する認識がまた変わった。

　以前に普通の携帯電話からbiblioに変えた時も、使い勝手が大きく向上したと思ったが、iPod touchはさらに次元が違った。本当にこれはスゴい！と思った。

　iPod touchで使ってみた電子書籍関係のアプリは

　　・i文庫 \450
　　・iComic \115
　　・Kindle for iPhone and iPod touch \0
　　・Stanza \0
　　・GoodReader \115
　　・豊平文庫（ほうへいぶんこ）無償版 \0

また、データのiPod touchへの転送には「DiskAid(シェアウェア)」を使用した。
→(4/5追記)「DiskAid」の試用期間が終わったため購入しようかと思ったが、ほぼ同じ機能のフリーソフト「i-FunBox」があったので、今後はそちらを使うことにした。

　i文庫はスキャナで取り込んだ画像ファイル(zip圧縮のまま読める)、青空文庫形式のtxtファイル（もちろん一般のtxtファイルも）、および青空文庫のダウンロードに対応している。iComicはスキャナで取り込んだ画像ファイルのみに対応している(同様にzip圧縮のまま読める)ためi文庫と機能がかぶるが、画面を横に倒しただけで拡大モードになるなど独自の機能がある。文庫本などを取り込んだファイルについてはi文庫でも十分だが、漫画に関してはiComicの方が使い勝手が良い。

　KindleとStanzaもアプリが無料で、ネット上でもよく話題にも出ているということで一応試してみたが、基本的には日本語に対応していないため、まだ殆どいじっていない。とはいえAmazonで購入できるので、洋書を読む場合にはかなり便利そうである。そのうちペーパーバックのSF作品でも買ってみよう。

　pdfについてはGoodReaderを使ってみた。評判通りなかなか使い勝手が良かった。ただ、pdfに変換して読むよりは、画像のままi文庫で読んだ方が使い勝手は良い。これはアプリの機能というよりも文書のフォーマットの問題だろう。ところで、残念なことに現在のバージョンではUSBによるファイル転送機能が使えなくなっている。これに関しては使えるようにする方法が以下のサイトで紹介されているので、それなりに知識のある方は試してみるのも良いだろう。

［非JB］新規GoodReader v2.4〜v2.7でUSB転送を可能にさせる方法

　豊平文庫も青空文庫リーダーとしては評価が高い様なので、とりあえず無償版の方をダウンロードしてみた。無償版故にいろいろと説明が表示されるのが鬱陶しいが、操作感覚は悪くない。とはいえ青空文庫に関してはi文庫がカバーしているので、敢えて併用する必要も無いだろう。自前でスキャナ取り込みをしない人であればこちらの方が良いかもしれないが、その人の用途次第だろう。

　電子ブックリーダーとしてiPodtouch(iPhone)をbiblioと比較した利点は、やはり豊富なアプリに尽きる。電子ブックリーダーソフトにもピンからキリまである。上には記載していないが、市販されている電子書籍を読むための専用リーダーも非常に沢山ある。いくつか体験版だけ試してみたが、早さや操作性に於いてbiblioと同等かそれ以下のアプリもいくつもあった。biblioの場合は基本的にデフォルト機能のリーダーを使う以外に選択の余地がないが、iPod touchの場合はできの悪いアプリは自然淘汰され、勝ち残ったアプリも切磋琢磨して機能が向上していく。まあ、biblioはiPod touchのような全面タッチパネルではなく画面端だけというハード的な優劣もあるのだけど。

　電子書籍の普及がマスコミでも騒がれているが、正直なところ私はまだ懐疑的だ。iPod touchのi文庫やiComicを家族や同量に使わせてみると、多くの人は「こんなに使い易いのか」と驚いた。「これなら使ってみたい」と言う人も何人も居た。しかしそのためにiPod touchやiPhone、iPad、もしくはKindleやSonyのReaderを買おうという人は居ない。年に数冊しか本を読まない人、読むとしても図書館で借りて読むという人にとっては、読書用の端末を買う利点が無いのだ。また、CD→iPod等への移行の場合は自分の持っているCDを取り込んで再生することが出来たが、電子書籍に関しては現状では取り込みは基本的に不可能だ。一応スキャナ取り込みは可能ではあるが、一般には実用的ではない。ここがかなり致命的だと思う。

　一応、読書端末が無くてもPC上で電子書籍を読むことは出来る。しかしPCでの場合は、読む場所がPCの前に限定される。これは紙の媒体に比べて利便性が大きく損なわれる。やはり電子書籍の普及は、読書用端末の普及が前提になるだろう。しかし若者の読書離れなどが言われて久しい現状で、一般に端末を購入させるだけの魅力が、書籍というジャンルにあるのだろうか？もしiPhoneやAndroid携帯のようなスマートフォンが携帯電話のデフォルトになったら、大きく世の中が動くかも知れない。しかしそこまで携帯電話が変わるとは思えない。

　ちなみに、10年くらい前に携帯電話を持ち始めた頃の私は、カメラ付きの携帯電話なんて買うのはマニア層だけだろうと思っていた。そんなこともあり、私自身も自分の予想があてになるとは思っていない。とはいえ現時点では電子書籍の未来がそれほど明るいとは思えないのだが、他の方はどう思っているのだろうか。

Apple iPod touch 第3世代 32GB MC008J/A