上野で珈琲を飲むためだけの店に行ってきた
デイリーポータルZのコーヒーを飲むこと以外は、許されない喫茶店という記事を見て興味を覚え、東京に出たついでに北山珈琲店に行ってみました。上野駅から歩くこと10分くらいで店に到着。
たしかに店の表に
「事務、読書、商談、その他待ち合わせ等コーヒーを味わう事以外でのご入店はお断り致します。(30分以内でのご利用をお願いします)」
の張り紙があった。ちょっと気後れして一見さんは入りにくい。
思い切って入ってみると、珈琲の香りが充満している。狭い店内には10席ほどしか無く、空き席が無かった。
「席が空いていないのでちょっと待って頂けますか?」
とご主人の声がすると、飲み終わって談笑していた感じのカップルが自主的に席を立って会計してくれた。なんだか申し訳ない。ご主人も「申し訳ありません」と謝っていた。
外の張り紙から受ける印象とは違い、物腰も柔らかく腰の低い店長だった。
メニューを見て、さて、どれにするか。どれもオススメだが、初めての人にはオリジナルブレンド「雅」のホットと「雫」のお替わり用ハーフサイズが良いのでは、とのこと。残念ながらその日は「雫」が既に売り切れだったので「雅」のホット(1500円)にした。
待つことしばし、一際強い香りと共にコーヒーが出てきた。
まずはブラックで一口。
濃っ!苦っ!
だが、後口に嫌なエグみ等が全く残らない。確かにいつも飲んでいるコーヒーとは何かが違う。
私はコーヒー通でもないので、ブラックは一口で十分。砂糖を一匙入れる。
少し甘さが加わると苦さが少し弱まり、他の味も感じられるようになった。
半分くらい飲み、残りにはクリームを入れて飲んでみた。これもまた違った味わいだ。
いつも飲むコーヒーは少なからずエグみやいがらっぽさがあり、それもコーヒーの味わいの一部だと思ってきた。喫茶店でプロがいれたコーヒーではそういう雑味は少なかったが、それでも多少は後味が残った。ここまで嫌な後味が残らないのは初めてだ。
飲み終わって余韻に浸りながら、アイスコーヒーも試してみようかと考えていたが、また客が来た。席は空いていない。よし、ホットコーヒーで十分に満足を得られたので、今回はこれで帰ることにしよう。
席を立って会計を求めると、ご主人が本当に申し訳なさそうに謝った。新しく空いた席に座った客も恐縮していた。なるほど、こういう店なのだな。表の張り紙の真意がなんとなく分かる気がした。
さて、今度はアイスコーヒーや各銘柄の豆を試してみたい。そうそう、「雫」も次回こそ試してみなければ。