「宇宙戦艦ヤマト 復活編」を観てきた

 近くのシネコンは金曜日がメンズデーとやらで、男性は1000円で鑑賞できる。何か観るものはないかと確認したところ、「ヤマト復活編」本日で上映終了とある。

 ヤマトの過去の映画は、映画館ではなくTVでだが一応全部観ている。「復活編」は映画館の予告を何度か観たが、どう考えても地雷臭がする映画だ。そういう意味では興味があるが、残念なことに話題性が全くと言っていいほど無い。あまりにも微妙なので二の足を踏んでいたが、これも何かの巡り合わせだ。思い切って観に行くことにした。

 ちなみに下調べはしていないので、ほとんど作品の情報は持っていない。

 映画館に入ると、150席くらいのシアターに観客は10人くらい。まあこんなものか。

 映画が始まると、大きく「原案:石原慎太郎」の字が。そうか、そういう映画なのか。なんかいきなりテンション下がった。

 以下アフィを挟んで、作品ストーリーのネタバレになります。


ポピニカ魂 宇宙戦艦ヤマト(再販)

ポピニカ魂 宇宙戦艦ヤマト(再販)

[rakuten:book:12584654:detail]

 なんでも移動性のブラックホールが現れ、その進路上に太陽系があるため、地球の滅亡が避けられないようだ。「地球に未曾有の危機が迫っている」とのナレーション(羽佐間道夫)だが、ヤマトの過去作品を考えれば「いまさら未曾有も無いだろう」と内心で突っ込みを入れる。どうでも良いことだが、未曾有という言葉を聞くと、麻生元首相を思い出してしまう。

 そんなわけで、地球からアマール星の月に移民することになったらしい。なぜ月なのかというと、これは大分後でわかるのだが、アマール星というのは有人の国家がある星で、その月に間借りするということらしい。

 その移民船団を謎の宇宙艦隊が襲撃し、艦隊はほぼ壊滅。一部は辛くもワープで逃げられたが、船団の団長であった古代雪(森雪)は消息不明。乗艦はボロボロな状態で、死体は見つからなかったが帽子だけが残っていた。常識的に考えれば死んでいるのだが、古代進が「必ずどこかで生きていると信じている」と言っているので、ほぼ間違いなく生きているのだろう。ここらへんはマクロス7とかマクロスフロンティアっぽいな。

 続けて出発した第2次移民船団も壊滅。地球連邦の長官になっていた真田司郎は、第3次移民船団を古代に託す。真田の側近っぽいポジションで島と呼ばれていたのは、島大介の弟かな?そして第3次移民団の旗艦として、ヤマトが再び建造されていた。

 ヤマトの乗員で古代以外で旧クルーは、機関長の徳川太助のみ。しかし以前の面影のないイケメンになっている。他は全て新キャラである。

 ヤマト発進のバックに、おなじみのヤマトの主題歌。歌うのはTHE ALFEE。う〜ん、THE ALFEEは好きなんだけど、ささきいさおに比べると重厚感が無いのが物足りない。

 アマール星に向けての航海中、敵のサーチネットを発見。ひっかかると敵に捕捉されてしまうのかな?ブラックホールで勢いをつけたワープで突破を狙うが、ワープ作業中に敵3艦隊に攻撃を受ける。護衛艦隊を2つに分けてそれぞれ1艦隊ずつに対処させ、ヤマト1艦で1艦隊と戦う。え〜っ、そんなのあり?と思ったら、あっけなくヤマトが圧倒。操舵手の小林と船医の美晴が戦闘機に乗って、操舵手は古代が務めていた。いや、その2つのポジションは重要だから、専任の方が良いんじゃね?ちなみに後半の戦闘でも2人は戦闘機に乗り、操舵手はレーダー担当の桜井が務めた。死傷者が出た後ならともかく、最初からこんなに人材不足で大丈夫かね、ヤマトは。といったところで、敵艦隊の1つが「敵ながらあっぱれな奴」と停戦する。

 無事ワープに成功し、アマール星に到着。アマールの女王の話では、敵の謎の艦隊は星間連合軍でそれを牛耳っているのはSUSという国。アマールも星間連合の庇護を受けているとのこと。えっ、アマールとは移民を受け入れてもらえるほど親密な関係なのに、なんでそのレベルの情報を今まで知らなかったの?と再度内心で突っ込みを入れる。

 突如、星間連合の攻撃がアマールに。ヤマトを受け入れた制裁である。戦火に襲われた市民たちは王宮に集まり、ヤマトと共に星間連合と戦おうと皆で叫ぶ。いや、普通は疫病神のヤマトを追い出せという声が上がるんじゃないかな。全員一致って、なんか気持ち悪い。

 星間連合の中で、先ほどヤマトと停戦したエトス軍の司令官が離反してSUSに攻撃をしかける。「士道に背くことはしたくない。豚となって生きるよりは死んだ方がましだ」とか言っている。逆らうとエトス星を滅ぼすとのSUSの脅しに、「わが民も分かってくれるはずだ」とか言っている。やばい、こんな人を指導者に持ったらやばい。さすがは原案:石原慎太郎だ。エトス軍の旗艦がSUSの旗艦に特攻して共に沈んだため、星間連合軍は撤退する。

 ヤマトがアマール星を離れると、SUSの本拠地である要塞と大艦隊が待ちかまえている。ヤマト側優勢である艦隊戦にしびれをきらしたSUSの司令官が、連合国の艦隊と自国の艦隊を巻き添えに要塞の主砲発射。ヤマト艦隊も大打撃を受けるが、連合国艦隊もさすがに愛想を尽かして去る。ヤマトと要塞の一騎打ちとなるが、強力なバリアーに妨げられて攻撃が効かない。バリアーを破るために、制御装置っぽいところに副艦長がミサイル艦に乗って特攻をかける。副艦長の出番はほぼここだけ。特攻って、やっぱり原案:石原慎太郎だなあと改めて感じる。

 バリアーがなくなったので、要塞砲5門を波動砲6連発のうち5発で破壊する。要塞を倒した!と思ったら、案の定過去の作品のように敵が真の姿を現す。潜宙艦で隠れたり出たりしながら攻撃するという卑怯者だ。攻撃できないで困っていると、太陽が実は敵のエネルギー源だったことを古代が見抜く。最後の波動砲で太陽を破壊すると、敵は全滅。太陽を破壊したと言うことは、SUSは国民含めて全滅しちゃったのかな。それはけっこう酷いことかもしれない。まあヤマトには過去にもガミラス星吹っ飛ばしたりした前科があるけどね。

 敵を倒したら、なんか変なのが出てきて、俺は異世界からこの世界を支配するために来た。負けを認めるので、この世界はおまえらが支配しろ。とか訳分からないことを言ってくる。言いたいことを言ったら消えたので、気にしないで地球に戻る。

 地球に戻ると、移動性ブラックホールはすぐ近くまで迫っており、地球まで残り3日。急いで移民船に乗せ、最後の移民団を発進させる。しかし長官である真田と、サファリパークで暮らしていた佐渡&アナライザー&ミーくんは地球に残ると言う。佐渡のサファリパークから移民船に向かう輸送船に古代の娘が乗っていたが、途中で遭難。古代が戦闘機で救援に向かうと、墜落した船の中から娘だけが見つかる。輸送船には10人以上乗っていたのに、救援の機体は2人乗りでどうするんだと思ったら、都合の良いことに古代の娘以外は全滅していたため、娘だけ乗せて帰った。もしかしたら他に生存者がいたかも知れないのに、酷い話だ。

 地球を発つと、もうブラックホールはすぐ近くまで迫っている。ここでまた変な奴が出てきて、ブラックホールは我々の次元への資源回収装置だ。地球も我々の資源にしてやる。とか言ってくる。何しに来たんだ、こいつ。人工的なものなら対処できるはずだ、と解析してみると、ブラックホールにコアのような物が見つかる。波動砲6発を同時に撃てば破壊できるんじゃないか?と解析すると、理論的には可能だがヤマトも耐えられないだろうという結果。でもやっぱりやる事に。ここで、封印されていたはずの波動砲同時発射装置のプロテクトが自動的に解除される。真田さんが「こんなこともあろうかと」仕込んでいたらしい。さすが真田さんだ。

 波動砲同時発射により、ブラックホールは撃破。ヤマトも満身創痍ながら生き残った。ここでエンドロール。あれ?行方不明の古代雪はどうしたの?と思って見ていると、ヤマト復活編 第1部完の文字。え〜っ、まだ続きがあるの!?


 総合的に見ると、つっこみどころ満載で、随所に石原慎太郎っぽい思想が見えるのが鼻に付く映画。しかし思い出してみると、過去のヤマトでもだいたい同じようなことをやっているような気もする。なんにせよ、ヤマトという作品はあまりにも虚像が大きくなりすぎているため、たぶんどれだけしっかり作っても皆納得しないと思う。*1さて、12月には実写キムタク版のヤマトが控えているわけだが、こちらもどんな怪作になるか楽しみである。

*1:この作品が納得させられる出来だったかどうかはさておき。