計画的な当たり屋

シー・シェパードが第2昭南丸乗組員を告訴 「海賊行為」だ、と(産経ニュース 2010.1.9 00:49)

南極海で日本の調査捕鯨団の監視船、第2昭南丸と米環境保護団体シー・シェパードの抗議船アディ・ギル号が衝突した問題で、シー・シェパードは8日、「海賊行為」の疑いで、第2昭南丸の乗組員をオランダ司法当局に告訴した。

 このニュースを最初にみたときは、「せっかくの高速艇を早速壊してしまって馬鹿だなあ」と思った。しかし詳細を見るほど、計画的犯行であることが窺われてきた。シー・シェパードは感情的で短絡的な行動を行っているようではあるが、決して単なる馬鹿では無いはずだ。突発的な事故と考えるには不自然な点がいくつかある。

1.アディ・ギル号は高速だが船体の強度が劣ることは明らかである。

 映像を見てもわかるように、その船体はおそらくFRPで強化装甲を施している様子もない。このような強度も重量も無い船体で捕鯨船や監視船に衝突すれば、相手に大した損傷も与えずに一方的に壊れることは素人目にも明らかである。にもかかわらず第2昭南丸と衝突するような行動を取っている。

2.アメリカでもオーストラリアでもニュージーランドでもなくオランダ司法当局に告訴

 その根拠としてオランダ人が搭乗していたこと、母船がオランダ船籍であることを挙げている。本来、シー・シェパードはオランダよりも米、豪、NZの方が縁が深い。にもかかわらずオランダに告訴したことには、何か計算があるはずだ。


 これらを見れば、アディ・ギル号は最初から日本の捕鯨船や監視船にぶつけて沈み、告訴することまでを狙っていたと考えるのが自然だろう。各国の法律を比較した上で告訴先としてオランダを選んだ上で、その根拠とするためにオランダ人を搭乗させていたと考えるのは穿ちすぎだろうか。

 日本のニュースで流れた映像は第2昭南丸の上から撮影されたものであり、相対的にアディ・ギル号がぶつかってきたように見える。しかしシー・シェパード側で撮影した映像では、アディ・ギル号がぶつかるような位置に進行しているものの、最終的には第2昭南丸からぶつかったという解釈もできそうだ。

シー・シェパード撮影の動画

日本撮影との比較動画


 つまり、これは全てはシー・シェパードの計画通りだと考えられる。馬鹿にして笑っている場合じゃないよ。

 オランダでの司法判断がどうなるかはまだ分からないが、捕鯨問題については、理屈はどうあれ捕鯨国以外はわざわざ捕鯨に賛成しても、それ自体にメリットはない。*1メリットがないなら、環境に配慮する姿勢を見せた方がウケが良い。シー・シェパードの行為に眉を顰める人は少なからずいると思うが、わざわざ日本の味方として名乗りを上げる国はほとんど無いのではないだろうか。

 2ちゃんねるはてブを見ると嘲笑するようなコメントが多いが、実際はそんなに楽観視できる問題ではないと思う。

追記

 元記事は消えてしまったのでキャッシュへのリンクになるが

捕鯨妨害なら船籍剥奪、オランダが法改正へ(2009年12月10日14時34分 読売新聞)

オランダも必ずしもシー・シェパードの味方では無いようだ。

*1:賛成を外交の材料にして日本から援助を引き出すといった間接的なメリットはあるかもしれないが。